理系学生日記

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複素ベクトル空間

今日は複素ベクトル空間です。
複素ベクトル空間というのは、これまで実数を定義域としていたベクトル空間を複素数まで広げたものです。次元には有限はもちろん無限次元も考えることができますが、今日は無限次元まではいけない予定。tex 記法だと書くのに時間かかりますね。

あらためて、複素ベクトル空間における固有値固有ベクトルと、固有空間を定義します。

T\mathbf{V}から\mathbf{V}への線形写像とする。

  1. \mathbf{0}でないベクトル\mathbf{x}に対してT(\mathbf{x})=\lambda \mathbf{x}が成り立つとき、複素数\lambda\in \mathbf{C}T固有値という。
  2. \lambdaT固有値とする。このとき、T(\mathbf{x})=\lambda \mathbf{x}を満たす\mathbf{0}でないベクトル\mathbf{x}を、固有値\lambdaに属する固有ベクトルという
  3. \lambdaT固有値とする。このとき、\lambdaに属する固有ベクトル\mathbf{V}の部分空間E(\lambda)をつくる。このE(\lambda)固有値\lambdaに属する固有空間という

ここで、線型写像T固有値を持つのかという存在性の議論がありますが、結論から言えば

線型写像Tは少なくとも 1 つの固有値を持つ

ことを示すことができます。というのも、
\lambdaT固有値であるという条件は、恒等写像Iとして、(\lambda I-T)\mathbf{x}=\mathbf{0}
と表すことができます。この式が、任意の\mathbf{x}で成立するためには、|\lambda I-T|=0でなければなりません。TIの次元をnとすると、この式はn時の代数方程式になりますが、代数方程式は必ず複素数の中に解を持つので、これを満たす複素数\lambdaは確実に存在します。

では固有ベクトルの持つ性質は、というと、T固有値の中から異なるものを適当にk個とって、それらを\lambda_i (1\leq i \leq k)とし、それぞれの固有値に属する固有ベクトル\mathbf{e_i} (1\leq i \leq k)とすると、

\left\{ \mathbf{e_1},\mathbf{e_2},\cdots,\mathbf{e_k}\right\}は一次独立である

という性質があります。これは数学的帰納法でシンプルに証明できます。

証明

i=1のときは、固有ベクトルの定義から、\mathbf{e_1}\neq \mathbf{0}であり、明らかに一次独立。
i=k-1のときまで上記が正しかったとします。つまり、\left\{ \mathbf{e_1},\mathbf{e_2},\cdots,\mathbf{e_{k-1}}\right\}までが一次独立であったことを仮定します。
ここに、\mathbf{e_k}\neq \mathbf{0}を付け加え、一次独立でなくなったとします。つまり、\mathbf{e_k}=\sum_{j=1}^{k-1}\gamma_j\mathbf{e_j}と表せてしまったとして矛盾を導きます。

この両辺にTを適用してみると、\mathbf{e_j}\lambda_jに属する固有ベクトルですから、
T(\mathbf{e_k})=\lambda_k\mathbf{e_k}=\sum_{j=1}^{k-1}\gamma_j\lambda_j\mathbf{e_j}
一方で、両辺に\lambda_kを乗じてみれば、
\lambda_k\mathbf{e_k}=\sum_{j=1}^{k-1}\gamma_j\lambda_k\mathbf{e_j}
両式を引くと
\mathbf{0}=\sum_{j=1}^{k-1}\gamma_j(\lambda_j-\lambda_k)\mathbf{e_j}
となります。ここで、\left\{ \mathbf{e_1},\mathbf{e_2},\cdots,\mathbf{e_{k-1}}\right\}が一次独立であるという仮定より、上式が成り立つためには\gamma_j(\lambda_j-\lambda_k)=0でなければなりません。固有値は互いに異なるもののみを取得しているので、\lambda_j\neq \lambda_k、よって、\gamma_j=0 \; (1 \leq j \leq k-1)とならなければなりません。
この結果、\mathbf{e_k}=\sum_{j=1}^{k-1}\gamma_j\mathbf{e_j}=\mathbf{0}となってしまうので、これは\mathbf{e_k}固有ベクトルとなることに矛盾します。

固有ベクトルと基底

もしTn個の異なる固有値\lambda_i (1\leq i \leq n)を持つときは、対応するn個の固有ベクトルは一次独立であるため、n=\mathrm{dim}Vなのであれば、\left\{ \mathbf{e_1},\mathbf{e_2},\cdots,\mathbf{e_{n}}\right\}\mathbf{V}の基底になることになります。
つまり、\forall \mathbf{x}\in \mathbf{V}について、\mathbf{x}=\sum_{i=1}^n\alpha_i\mathbf{e_i}と表すことができ、さらにT(\mathbf{x})=\sum_{i_1}^n\alpha_i\lambda_i\mathbf{e_i}と示すことができます。

次回は直交補空間くらいまでいきたいな。