理系学生日記

おまえはいつまで学生気分なのか

物理法則の対称性

久々にファインマン物理学読もうとしたけどどこまで読んだか忘れてしまいました。どこまで読んだのかエントリ読み直したらわかるんだけど、エントリ読みなおすのメンドいから、最後から読むことにしました。というわけで、今日は 27 章の物理法則の対称性になります。

物理学における対称性というのは点対称とか線対称とかで考えると逆に分かりにくくなってしまう概念ですが、「あるものに対してなんらかの働きかけをした後、それをする前と全く同じに見えるとき、それを対称であるという」という風に理解するものになります。例えば、運動方程式 m \frac{d^2x}{dt^2}=F は平行移動に対して対称ですし、計算がちょっとメンドいですけど、回転に対しても対称です。なので、ぼくたちが住んでいる世界には特別な座標原点なんてものは存在しませんし、特別な座標軸も存在しません。考えなくても良いってわけです。


27 章は、この対称性というのをテーマに進んでいくのですが、特にページが割かれているのが鏡映対称性です。鏡映対称性というのは、その字の如く、物理法則が、鏡の中の世界でも「対称」であることを示す対称性なのですが、「ページが割かれている」ということが暗喩しているように、この「鏡映対称性」というのは破れています。つまり物理法則は、鏡の中の世界においてはぼくたちの世界と同じようには振舞いません。ちょっとビックリですね。先程の運動方程式で特別な座標原点が存在しないというレトリックを用いるならば、物理法則には明確な「左」と「右」が定義できてしまいます。本の中の表現を借りると、真空・暗黒な世界で生まれた右も左も分からない宇宙人に、ぼくたちは明確な「左」と「右」の概念を伝えることができます。

とはいえ直感的には鏡映対称性が破れていないと思ってしまうのは重力法則や電磁気の法則、核力といったおなじみの法則がいずれも鏡映対称性を満足するからで、破れが明確になるのはβ崩壊です。このあたり、以下のページの「パリティの非保存」がシンプルに説明されていてとても良かった。

自然は左右を平等に扱わず、明確な差異を持っていたということになります。

そしてこの話、さらに CP 対称性に発展します。「CP 対称性」の C は Charge で荷電共役変換、つまりは粒子と反粒子を入れ替える変換、P は Parity でパリティ変換で鏡像を作る変換を意味します。この CP 対称性というのは、これら荷電共役変換とパリティ変換の積の変換に対する対称性のことを言います。鏡映対称性は破れていたけれど、CP 対称性は破れていないのでは! というところで 27 章は終わってしまうのですが。。。

CP 対称性の破れについては、別の本に載ってそうですね。