理系学生日記

おまえはいつまで学生気分なのか

なぜ彼女は殺されなければいけなかったのか? 「僕だけがいない街」がすごくおもしろい

僕だけがいない街、ものすごい面白かった。
Amazon では KADOKAWA セール中なので、一巻が 224 円とか破格で手に入るし、ぜったい買いたいしぜったい買うべきだと思ったしぜったい買った。
他にやること、やらないといけないことはたくさんあったのに、Amazon でポチってから既刊 5 巻分を一気に読んだし、しゃにむに読んだ。もう先が気になって気になって仕方なかった。

話としては、伏線張りまくりの歴史改変系ミステリー。時間ループ系サスペンス。
主人公である藤沼悟は鳴かず飛ばずの漫画家だけれど、身近に事件を感じるとその事件の直前の時間に戻る能力「再上映」が意思に関係なく発現してしまう体質。日常を突然襲った悲劇を契機に「再上映」が発生し、幼い頃にクラスメイトが巻き込まれ惨殺された、一連の児童誘拐殺人事件の真実を追うことになる。

まだまだ話は完結してないんだけど、真犯人ホントにこの人なの!!!! っていうところで最新刊が終わってて、ものすごい先が気になる。半年ずつにコミックが出るかんじなのに全然待てる気がしない。半年とか待てるわけないやろ!
そして 5 巻しか出てないはずなのにこの内容の濃さはなんなんだ。いったい何度事件が起こって、何度周到な真犯人に嵌められて、何度絶望するんだ一体。
再上映を利用しても救えない命だとか、付随してやってくる絶望感とか、それでも救いを求めて繰り返す時間とか。緊迫感の満ちたサスペンス要素だけでなく、登場人物の心の機微、動きがバンバン伝わってきて、頭をえぐられるかんじがした。

登場人物も誰もが魅力的で、あぁこの子はこういう風に物を考える子なんだなっていうのが細かなエピソードから伝わってきて、ついつい応援したくなる。
なんといっても主人公の頑張りは圧巻で、周囲に心を閉ざしていた小学生の加代ちゃんを、悟が必死になって守る姿がとにかくかわいい。あと加代ちゃん自体がかわいい。切ない生い立ちでそれでさらに悲劇が襲うっていう女の子なんだけど、真正のツンデレやってる。そんな境遇の加代ちゃんを主人公の悟が何とかして救いたいって奔走してるところ、がんばれがんばれって夢中になって応援してた。今でもあるでしょ、小学生のときを思い返して「あぁこうすればよかったのに」というもどかしさ。悟の一つ一つの行動が、そういうもどかしさを抱えた心に刺さってきてキュンキュンするかんじがする。

「僕なら助けられたハズなのに」

「事件」になってもいい
計画途中で見つかってもいい
俺は裁かれたって構わない

現代である 2006 年と、根本となる事件が発生した 1988 年を行き来しながら、緊迫感とともに進む事件と明らかになっていく事実、少しずつ絞られていく真犯人像。あーもう 6 月が待ち切れない。