積ん読していたフィリップ・K・ディックの「宇宙の眼」をようやく完読しました。
フィリップ・K・ディックを知らない人はいると思いますが、「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」とかは有名だと思うし、映画化されたものを見ても
- ブレードランナー
- トータル・リコール
- マイノリティー・リポート
など、有名なヤツが多い。あと、上記 3 作品だけ見ても、だいたいの作品イメージが掴めると思います。時代こそ違いますが、サイバーパンク的な SF 作品が多い印象。 「宇宙の眼」自体も、作品としては 1957 年のものではあるんですが、今読んでも古さはまったく感じませんでした。
作品は、ベバトロン(陽子ビーム加速器)を見学していた 8 人が、装置の事故により加速器に落ちてしまうところからはじまります。 8 人は怪我を負いながらも通常の生活に復帰するわけですけど、その復帰した現実が、事故前の現実とは異なる文化・宗教感の現実ものになっていて、8 人が対立しつつ、ときに協力しつつ、なぜ狂気のような現実に変わってしまったのかを探り元の現実に戻ろうとするのが大筋で、パラレルワールドの走りなのかと思います。
個人が主観だけでつくる現実は、どんなに破綻していようと、また破綻させようと、不思議な既視感があり、ぼく自分も頭の中でそういう破綻した現実を勝手に作っているんじゃないかと思います。 それが表面に出てきて実際にそこに実在する人間が所属してしまうと、気づかなかった破綻面が見えてきて、wikipedia:宇宙検閲官仮説 をちょっと想起させました。
ひさしぶりに「小説」を読みましたが、やっぱり娯楽としてすごく質が良いなと思います。技術書とかを読むのとはまた違う達成感があって良い。