台風19号、そして一昨日の関東圏での大雨等で、最近はスマフォに緊急速報が届くことが多くなりました。 PUSH 通知とは異なる仕組みで届いていることは明らかなのですが、イマイチきちんと理解していなかったので、今日はそのあたりを調べてみます。
緊急速報の種類
携帯・スマフォに通知される緊急速報については、主として Jアラート起因のものと、地方公共団体等が発信しているしているものに二分されるようです。 これらの緊急速報について発信しているのはキャリア (MNO) であり、それぞれのキャリアがサービスとして提供しています。
- DoCoMo: 緊急速報「エリアメール」 | サービス・ソリューション | 法人のお客さま | ドコモビジネス | NTTドコモ
- au: 緊急速報メール「災害・避難情報」 | モバイルサービス| au 法人・ビジネス向け | KDDI株式会社
- Softbank: 緊急速報メール | スマートフォン | 端末別対応サービス一覧 | サービス・ソリューション | モバイル | 法人のお客さま | ソフトバンク
契約している地方公共団体については、上記サイトで公表されていたりします( DoCoMo、au、Softbank )
蛇足ですが、これらサービスの利用料はいずれも無料なんですね…。
J-アラート
緊急速報を発信する起因となるシステムの一つが Jアラートです。Jアラートは、内閣官房が作成する有事関連情報(弾道ミサイル等)、気象庁が作成する情報(地震、津波、火山噴火、気象)を緊急情報として国民に知らせるためのシステムです。 通知手段は、今回取り上げている携帯やスマフォへの通知だけでなく、市町村への防災行政無線や有線放送電話、緊急告知FMラジオもあります。
このあたりは、消防庁ホームページによくまとまっていたので引用します。
この Jアラートでも、先に述べた各キャリアのサービスを利用し、僕たちの携帯・スマフォへ緊急速報通知を送っています。
緊急速報通知の仕組み
通常キャリアから携帯・スマフォへの通信は、基地局経由で回線交換 or パケット交換にて行われます。これはもちろん、端末指定で行われる(特定端末への通信が、他端末へもつながってしまうと困りますよね)ことになります。 一方で、緊急速報は
- 特定の地域にいる人に向けて
- ある種無差別に(ブロードキャストで)
通知することがあるという意味で、通常の通信とは根本的に異なっています。この通知は ETWS という仕様でまとめられており、最も急を有する最優先の通知事項 (Primary Notification) については、キャリアが受信してから我々の手元に通知が来るまで約 4 秒というスピードで配信されるようになっています。
ETWS
じゃぁ ETWS ってどういう仕組なんや…って調べていると、DoCoMo 社の Technology Report として 次世代移動通信ネットワークにおける緊急情報の同報配信高度化 が公開されていました。以下の図とその説明が非常にわかりやすかったので、以下に図を引用します。
一番左にある CBE (Cell Broadcast Entity) が、気象庁等の情報発信元を意味しています。緊急事態発生時、CBE は配信すべき緊急情報を情報配信サーバである CBC (Cell Broadcast Center) に送り、CBC はその要求から配信対象のエリアを特定します。次に CBC は基地局 (eNB) を収容する MME にそれらの情報を送り、MME は指定されている配信エリアに応じて、対応する基地局 (eNB) に緊急情報を送信、そして基地局に接続されている端末にブロードキャストする、という仕組みになっているようです。
配信エリア制御についても同資料に記述があり、Cell単位、TA (Tracking Area) 単位、EA (Emergency Area) 単位の3段階で配信エリアを定義することが可能なようです。EA については、オペレータで定義が可能(どの基地局がどのEAに紐づくかを定義可能)です。そりゃ、多数ある Cell ごとに指定するんじゃ、指定する側もされる側も大変ですし、なるほどなーと思いました。