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統計学の勉強をしているときに出会ったのが「最良選択問題」という、ある条件のもとで最も良い選択をするときにどうすればよいか、という問題です。 こう書くとなんのことがわからないのですが、たとえば次のように説明できます。 あなたは秘書を雇う必要が…
単調族の定義 集合 $X$ に対して、$X$ の部分集合族 $\mathfrak{M}$ が単調族であるとは、以下が共に成立することをいいます。 $A _{n} \in \mathfrak{M}$で$\lbrace A _{n} \rbrace$が単調増加ならば$\lim A _{n} \in \mathfrak{M}$ $A _{n} \in \mathfrak{…
極限操作と積分の順序を入れ替えても良い条件については、ルベーグの単調収束定理が有名です。これは、非負値可測関数列$\lbrace f _{n} \rbrace$が単調増加列であることを必要としています。 今日はある可積分関数$\varphi(x)$の存在を前提として極限操作と…
ルベーグの単調収束定理は次のようなもので、非負値可測関数列$\lbrace f _{n} \rbrace$が単調増加列であることを必要としています。 $E$の上で$0 \leq f _{1} \leq f _{2} \leq \cdots \leq f _{n} \cdots, \displaystyle \lim _{n \to \infty} f _{n} = f$…
今日は、当たり前のようにやっている極限操作と積分の順序交換についてです。これはルベーグの単調収束定理と呼ばれるものですが、その証明を見ていきます。 測度空間$(X, \mathfrak{B}, \mu)$を考え、以下$E \in \mathfrak{B}$とします。 補題: 非負の単関…
ルベーグ積分の定義は単関数に基礎があります。 空間$X$とその部分集合の$\sigma$-加法族$\mathfrak{B}$、$\mathfrak{B}$上の測度$u(A)$が与えられたとする。集合$E \in \mathfrak{B}$と$E$上の$\mathfrak{B}$-可測関数$f(x)$があるとき、$f(x)$が単関数$f(x…
ルベーグ積分を学ぶにあたって、まずは定義を押さえておかなければ話にならないので、本エントリで基本的なことをまとめておきます。 定義 $\sigma$-加法族 空間$X$の部分集合族$\mathfrak{B}$が次の条件を満たす時、$\mathfrak{B}$を$X$上の$\sigma$-加法族…
ルベーグ積分を定義するにあたっては色々な準備が必要で、まずはその初歩となる加法族、完全加法的といった定義を押さえていきます。 有限加法族 与えられた空間$X$の部分集合の族$\mathfrak{F}$が以下の条件を満たすとき、$\mathfrak{F}$を有限加法族と呼び…
大数の弱法則の次は中心極限定理です。 中心極限定理は非常によく知られた定理ですが、高専・大学とこの辺りは「そういうものだ」して、しっかりした証明を学ぶことはなかったように記憶しています。今回せっかく統計を学ぶのならと中心極限定理の証明を理解…
統計学では$\chi ^2$分布に関して次のことが言えるとされています。 確率変数$Z _{1}, Z _{2}, \cdots, Z _{n}$が互いに独立に標準正規分布$N(0,1)$にしたがうとき、$W=\sum _{i=1} ^{n} Z _{i} ^{2}$の従う分布を自由度$n$の$\chi ^{2}$分布と呼び、$\chi ^…
前回、統計学:相関係数と線形回帰 - 理系学生日記で相関係数$r$の定義式を示しました。今回は、この$r$が$-1 \leq r \leq 1$の範囲にあることを証明します。 コーシー=シュワルツの不等式 証明には、wikipedia:コーシー=シュワルツの不等式である以下の不…
プロジェクトの中で、Mastering Bitcoin の読書会を進めていまして、ぼくはこの本を読むのは 3 周目になります。 ただ、読み直す度に新しい発見があるのがこの本であり Bitcoin の技術でして、その中で Bloom Filter についての話題がありました。 Bloom Fil…
このあいだ、Advent Calendar に UUID の衝突確率の話を書きました。 もちろんこれは、昔に書いた以下のエントリをちょっとだけ修正しただけで、早速バレたりしていた。 とはいえ、UUID の衝突には続く話がありまして、それが誕生日攻撃というものです。 誕…
最近また wikipedia 巡りをして現実を逃避することが増えてきており、現実逃避によって学んだ代数的構造をここで披露いたします。 大学以来に抽象代数学に触れたけど、ほとんど忘れてて面白かった。 限られた前提から結論を導くことによって、その結論の適用…
UUID というのは、全世界・全時間において一意性を持った識別子とされています。RFC 4122 の言葉を借りると、 A UUID is 128 bits long, and can guarantee uniqueness across space and time http://www.ietf.org/rfc/rfc4122.txt とされています。 ですが…
ガウスの定理のつぎは当然ストークスの定理です。 循環 を任意のベクトル場とするとき、ある閉曲線を考えます。この閉曲線に沿うの成分を、曲線を巡って積分するとき、この積分をベクトル場の循環といいます。 小正方形のの循環 ある正方形の循環を求めます…
からへの線形作用素が固有値問題の解となるための必要十分条件は が成り立つことである。 今日はこの必要性の証明です。 の固有ベクトルからなる の正規直交基底が存在したことを仮定するところからスタートします。ここで、固有ベクトルに対する固有値をと…
やはり量子力学を学ぶためにはその前段として電磁気学の基礎を学んでいた方がよかろうかと思い立ちました。 というわけで、今日は、物理というよりは数学の匂いがしますが、ガウスの定理を理解しなおしましょう。 ガウスの定理とは、 ってヤツです。ここで、…
からへの線形作用素が固有値問題の解となるための必要十分条件は が成り立つことである。 を証明しましょう。ちなみに、このような関係を満たす作用素を正規作用素と言います。 あいかわらず tex 記法は時間がかかるので、今日は十分性の証明です。 十分性 …
いま、からへの線形作用素を考えましょう。 なお、ここでは便宜上、に対してのことをと書くことにします。このとき、について、とおくと、で、 となるので、はからへの線型写像である。 したがって、前回の話から、はについて、と表される。そこで、とおくと…
本を読んでびっくりしてしまいましたが n次元ベクトル空間から複素数への線型写像は、ただ 1 つのによって、と表される らしいのです。 日本語でざっくりと書き下せば、n次元ベクトル空間の任意のベクトルから複素数への任意の線形写像というのは、なんとな…
まぁ落ち着いて、まずは複素ベクトル空間の内積の定義をしておきましょう。 複素ベクトル空間の 2 つの元 に対して、複素数が対応し、次の性質を満たすとき、をとの内積という に対し、 ここで、(はの共役複素数を表している) ここで等号は ちなみに、を満た…
今日は複素ベクトル空間です。 複素ベクトル空間というのは、これまで実数を定義域としていたベクトル空間を複素数まで広げたものです。次元には有限はもちろん無限次元も考えることができますが、今日は無限次元まではいけない予定。tex 記法だと書くのに時…
内積 ベクトル空間の2つの元に対して実数が対応し、次の性質を満たすとき、に内積が与えられたといい、をとの内積と言う。 ここで等号は 内積が与えられたベクトル空間を計量をもつベクトル空間(あるいは、内積空間)という。内積空間の元に対し、をのノルム…
同型写像 まず、ベクトル空間の同型は次のように定義されます。 2 つのベクトル空間 と は、からへの写像が存在して、次の性質を満たすとき同型であるという。 はからへの1対1写像 定義から、は1対1なので、からへの逆写像も存在しています。 また、2 つのベ…