本を読んでびっくりしてしまいましたが
n次元ベクトル空間
から複素数
への線型写像
は、ただ 1 つの
によって、
と表される
らしいのです。
日本語でざっくりと書き下せば、n次元ベクトル空間の任意のベクトルから複素数への任意の線形写像というのは、なんとなんと、当該のベクトルと内のあるベクトルとの内積によって必ず書き下せると。
証明
まず、が零写像であれば、
で終わりです。ですから、
が零写像でない場合を考えましょう。
あるベクトルがあって、
となるとき、任意の
に対して
となるので、
であることが言えます。
ここで、の関係から、
となります。
前回の内容より、ベクトル空間は、その部分集合
と直交補空間
に直交分解できるので、それを応用すれば、
と直交分解でき、
が
と表せることが分かります。
ここで、より、
ですから、
は複素数
と
の単位ベクトル
によって、
と表されます。これを使うと、
。
このとき、 (なぜなら、
と
は直交しているから)。
一方で、の定義を使用すると、
ここで、とおくと、