から
への線形作用素
が固有値問題の解となるための必要十分条件は
が成り立つことである。
を証明しましょう。ちなみに、このような関係を満たす作用素を正規作用素と言います。
あいかわらず tex 記法は時間がかかるので、今日は十分性の証明です。
十分性
まず、 が成り立ったと仮定しましょう。
は線形作用素であるので固有値
を持ちます。そして、その固有空間
は複素ベクトル空間を構成します。
ここで、に対して、
となるので、
。
一方で、も線形作用素なので、固有値
を持ちます。この固有ベクトルを
とすると、定義から
。ここで、上述の通り
であるから、
。つまり、
と
は同じ固有ベクトルを持つことになります。
について、
を代入すると、
。
ここで、の形のベクトル全体からなる1次元の部分空間を
と書くことにし、
と直交分解してみます。このとき、
に対して
だから、上式の
となり、
が示されることになります。
次に、について、
を代入してみましょう。
すると、となります。ここで同様に
を
と直交分解すると、やっぱり
に対して
だから、
となります。
以上より、は双方ともに、
を
に移していることがわかります。
もベクトル空間であるから、この議論を再帰的に繰り返すことによって、
と直交分解されることになります。また、この
を
と置き換えても、この式は明らかに成り立つことは当然ですね。
このとき、は
の固有ベクトルからなる正規直交基底となっており、
は固有値問題が成り立つ線形作用素と言えます。