理系学生日記

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電気双極子

wikipedia:電気双極子を見ると、

次の式で示される、p を電気双極子モーメント(或いは単に双極子モーメント)と言う。
\mathbf{p} = q \mathbf{d}
ここで、 d は負電荷 -q から正電荷 q へ向かうベクトルである。
原点に存在する電気双極子 p が距離 r の点に作る静電ポテンシャルφ(r)は、
\phi(r) = - \frac{1}{4 \pi \epsilon_0} \mathbf{p} \cdot \nabla \left({1 \over r} \right) = -{1 \over {4 \pi \epsilon_0} } { \mathbf{p} \cdot \mathbf{r} \over {r^3} }
となる。ここでε0は真空の誘電率である。

この式は原点近傍に集中した任意の電荷分布の作る静電ポテンシャルの距離 r の点における第一近似の式となっている。

という記述があります。今日はこれを導出してみたいと思います。

まず、電荷を結ぶ z 軸を考え、その中点に原点を取ることにします。そうすると、2 つの電荷のポテンシャルは
\phi(x,y,z)=\frac{1}{4\pi\epsilon_0}\left[\frac{q}{\sqrt{(z-d/2)^2+x^2+y^2}}+\frac{-q}{\sqrt{(z+d/2)^2+x^2+y^2}}\right]
と表せます。
dについて第一近似を行うと、\left(z-\frac{d}{2}\right)^2\approx z^2-zdとなります。また、今は 3 次元を考えているので、r^2=x^2+y^2+z^2。これらを合わせると、\left(z-\frac{d}{2}\right)^2+y^2+z^2\approx r^2-zd=r^2\left(1-\frac{zd}{r^2}\right)となります。
結果として、\frac{1}{\sqrt{(z\pm (d/2))^2+x^2+y^2}}\approx \frac{1}{\sqrt{r^2(1\pm(zd/r^2))}}\approx \frac{1}{r}\left(1\pm\frac{zd}{r^2}\right)^{-\frac{1}{2}} (複合同順)。
これをさらに近似してやると、\frac{1}{r}\left(1\pm \frac{1}{2}\frac{zd}{r^2}\right)となります。
結果として、ポテンシャルは\phi(x,y,z)=\frac{1}{4\pi\epsilon_0}\frac{z}{r^3}qdとなり、双極子モーメントp=qdを使うと、\phi(x,y,z)=\frac{1}{4\pi\epsilon_0}\frac{z}{r^3}pとなります。
ここで、点(x,y,z)と z 軸との為す各を\thetaとすると、\mathrm{cos}\theta = \frac{z}{r}ですから、\phi(x,y,z)=\frac{1}{4\pi\epsilon_0}\frac{p\mathrm{cos}\theta}{r^2}p\mathrm{cos}\theta=\frac{\mathbf{p}\cdot\mathbf{r}}{r}なので、これを使えば\phi(x,y,z)=\frac{1}{4\pi\epsilon_0}\frac{\mathbf{p}\cdot\mathbf{r}}{r^3}=-\frac{1}{4\pi\epsilon_0}\mathbf{p}\cdot\nabla\left(\frac{1}{r}\right)

電気双極子を議論することのよろこび

電気双極子は電磁気学で習ったけど何が嬉しいのかよくわからないという話もありますが、電気双極子の考え方は、電気的には中性だけれど、わずかに分極しているようなミクロな物体(例えば水分子)の考えを単純化します。

例えば、一定の大きさがあり電気的には中性ですが、その内部にたくさんの正電荷負電荷q_iがあるような物質を考えましょう。各電荷q_iへの原点からベクトルを\mathbf{d_i}とし、原点からスッゴい遠い点 P を考えて電荷q_iからPへのベクトルを\mathbf{r_i}とすると、全電荷が点Pに作るポテンシャルは\phi=\frac{1}{4\pi\epsilon_0}\sum_i \frac{q_i}{r_i}と表されますね。
電荷q_iと点Pとの距離r_iは、ほぼR-\mathbf{R}\cdot \mathbf{d_i}ですから、逆に\frac{1}{r_i}\approx \frac{1}{R}\left(1+\frac{\mathbf{d_i}\cdot\mathbf{R}}{R^2}\right)
したがって、\phi\approx \frac{1}{4\pi\epsilon_0}\left(\frac{\sum_i q_i}{R}+\sum_i q_i \frac{\mathbf{d_i}\cdot \mathbf{R}}{R^3}\right)となり、第一項は全電荷の和として0(電気的に中性)なので、結局このときのポテンシャルは、\phi\approx \frac{1}{4\pi\epsilon_0}\frac{\mathbf{d_i}\cdot \mathbf{R}}{R^3}。結果として、双極子モーメント\mathbf{p}=\sum_i q_i\mathbf{d_i}の電気双極子と見做すことができます。