方向微分
ベクトルを考え、点がからの方向に動いたときにがどのような割合で変化をするかを考えるとき、のについての微分をで考えれば良い。これを方向の関数の方向微分という。
勾配ベクトル場
変数関数に対して、その勾配ベクトル場を
で定義する。
線積分
をパラメータとする道に沿ったベクトル場の線積分をで定義する。
このとき、である。
証明
これは、を領域上のある関数の勾配ベクトル場とすると、上の任意の道に沿ったの線積分は、の両端のみにより、道の取り方に依らないことを示している。
ポテンシャル
ベクトル場について、なる関数のことをポテンシャルという。
滑らかな開曲線
の部分集合が滑らかな開曲線であるとは、次の条件を満たす無限回微分可能な写像が存在することをいう。
- の像はである
- は単射である
- の微分はにならない
滑らかな閉曲線
の部分集合が滑らかな閉曲線であるとは、次の条件を満たすが存在することをいう。
- の像はである
- が存在し、が成り立つ
- の微分はにならない
滑らかな開曲線と滑らかな閉曲線を合わせて滑らかな曲線という。
ジョルダンの定理
を区分的に滑らかな閉曲線とすると、集合は互いに交わらない2つの領域の和に分かれる。一方は有界で一方はそうではない。
この有界な領域を閉曲線で囲まれた領域と呼ぶ。
滑らかな境界を持つ領域
の滑らかな境界を持つ領域とは、が連結な開集合であって、の境界が区分的に滑らかな曲線の和であることをいう。
接ベクトル
を曲線とし、をその正則パラメータとする。ベクトルがでのの接ベクトルであるとは、なるスカラーが存在することを言う。
長さが1の接ベクトルのことを単位接ベクトルという。
法ベクトル
ベクトルがでのの法ベクトルであるとは、であることをいう。
曲線の向き
正則パラメータとが曲線の同じ向きを定めるとは、なる任意のについて、なる正の数が存在することをいう。
標準的な向き
単位接ベクトルを時計回りに90度回転したベクトルを単位法ベクトルという。
を閉曲線とし、その囲む領域をとする。に対してでの単位法ベクトルのうちでの内側から外側に向かうものを考えると、これはただ一つに定まる。この結果、の向きが定まり、これをの標準的な向きと呼ぶ。
線積分2
を上のベクトル場、を向きの付いた滑らかな閉曲線とし、の向きを保つ正則パラメータをとする。このとき、線積分と定義する。
ここで、はとなるようなスカラー。
発散
をn次元ユークリッド空間の領域で定義されたベクトル場とする。の発散は、
で定義されるスカラー値関数である。
ガウスの発散定理
を滑らかな境界を持つ平面上の有界領域とし、をベクトル場とする。このとき次の式が成立する。
回転
平面上のベクトル場に対してその回転を
で定義する。
グリーンの公式
を滑らかな境界を持つ平面上の有界領域とし、をベクトル場とする。をの向きを保つ正則パラメータとする。このとき、