
数理・情報系のための代数系の基礎 (新数学ライブラリ (8))
- 作者: 寺田文行
- 出版社/メーカー: サイエンス社
- 発売日: 1990/01
- メディア: 単行本
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イデアル
が
の空でない部分集合で、
という性質を持つとき、
を
のイデアルと言う。
のイデアル
はある整数
を用いて
と表される。
証明
の元が0だけのときは、
である。これ以外のとき、
には正整数が含まれる。このとき、
に含まれる最小の整数を
とする。
について、
と表すことができる。ここで、
であるから、イデアルの定義から
。ところが、
は
に含まれる最小の整数であること、及び
より、
。つまり、
であるから、
。つまり、
。
また、[d\in I]であるから、すなわち
。よって
。
剰余類
整数全体の集合を、
を法として互いに合同な数からなる
個の集合に分けることができる。これを
と表し
を法とした剰余類と言う。
について、
を剰余類の代表元と言う。
を法とした剰余類の集合を
と表す。
剰余環
において
と定めたとき、を
を法とする剰余環と言う。
部分環
可換環の空でない部分集合
が
を満たすとき、
を
の部分環という。さらに
の部分環
が
を満たすとき、
を
のイデアルという。
とするとき、
を
の生成する単項イデアルという。
イデアルを基にして
が
であることを
と定義すると、この関係は
の中の同値関係である。
証明
。
をかけて
。
とすると、
。
。
剰余類・剰余環
に同値な
の元の集合を
と表し、
の属する剰余類と言う。
と定める。全体の集合を
で表すとき、
はこの演算により環である。これをイデアル
による剰余環という。
体
単位元1を持つ可換環において、0でない任意の元
が
となる元
を持つとき、
を体という。
を
で表し、
の逆元と言う。
体は整域である。
証明
について
かつ
と仮定する。
であるからそれぞれ逆元
が存在する。
であるから、
または
。
剰余体
を素数
を法とした剰余体という。
は
個の元を持つが、このように有限個数の元からなる体を有限体という。
*1:真部分集合