理系学生日記

おまえはいつまで学生気分なのか

[ISBN:4-535-78504-X:detail]
集合 G に写像  f: G \times G \rightarrow G が与えられており、 f(a,b) = ab \hspace{1em} (\forall a,b \in G) と書くとき、

  1.  \forall a,b,c\in G\;(ab)c = a(bc) \hspace{1em}
  2.  \forall a \in G\Rightarrow \exists e \hspace{1em}ae=ea=a
  3.  \forall a \in G\Rightarrow \exists x \hspace{1em}ax=xa=e

を満たす G を群と言う。
ここで、eは単位元、x=a^{-1}は逆元と呼ばれる。

さらに、 \forall a, b \in G に対して  ab = ba が成り立つとき G を可換群(アーベル群)と言う。
Gが可換群のとき、演算 aba+b と書くことがあり、Gを加法群と言う。

整数の全体 \mathbb{Z}=\{0,\pm 1, \pm 2, \cdots\}は数の加法に対して加法群であるが、自然数の全体\mathbb{N}は逆元が存在しないため、群にはならない。

 G の部分集合  HGと同じ演算によって群になるとき、HGの部分群と言う。

問題

G が群で H, KG の部分群なら、 H\cap GG の部分群であることを示せ。

回答

定義より、 \forall a,b \in H\cap G について結合法則は成立する。
また、HG の部分群であるため、 \exists e \in H。また、部分群の定義より H\subset G であるから  e \in H\cap G。よって \forall a \in G\cap G\;ae=ea=a
同様に、HG の部分群であるから、\forall a\in H\Rightarrow \exists a^{-1} \in HH\subset G より \forall a\in H\cap G\Rightarrow \exists a^{-1} \in H\cap G

共役部分群

HGの部分群でa\in Gなら、aHa^{-1}Gの部分群であり、これをHの共役部分群という。

証明

結合法則の成立は定義より自明。
e=aea^{-1}\in aHa^{-1}
a\in A, h\in Hについて、aha^{-1}\in aHa^{-1}。ここで ah^{-1}a^{-1} \in aHa^{-1}をかけると、\left(aha^{-1}\right)\left(ah^{-1}a^{-1}\right)=ah\left(a^{-1}a^{-1}\right)h^{-1}a=a\left(hh^{-1}\right)a^{-1}=aa^{-1}=e

部分群の生成

Gの空でない任意の部分集合Sを含む最小の部分群を\ll S \gg と書き、Sの生成する部分群という。S\ll S \ggの生成集合という。
a\in Gに対し、部分群\ll \{a\} \ggaの生成する部分群と言い、\ll a \ggと書く。1個の元から構成される群を巡回群と言う。
\ll a \gg = \{ a^n;\; n\in \mathbb{Z}\}

これを用いると、\mathbb{Z}=\ll 1 \gg

剰余類

Gの部分群Hがあるとき、G上の関係\sim\forall a,b\in G\;a^{-1}b\in H\Leftrightarrow a\sim bと定める。これにより、Gの類別が定まる。
GHによる左剰余類全ての集合をGHによる左商集合といい、G/Hと書く。G/Hが有限集合の場合、その元の個数\left\|G/H\right|を部分群HGでの指数と言い、[G:H]とかく。

a\in G, x\in Hについて、写像f_a:H\rightarrow aHHからaHへの全単射である。だから、もしHが有限群なら、各類はHと同数の元からなる有限集合である。

正規部分群

NGの部分群とする。\forall a\in G, \forall x\in Nに対して axa^{-1}\in Nが成り立つとき、NGの正規部分群という。

剰余群

群をG、正規部分群をNとするとき、商集合G/Nの元である剰余類aN, bN \;(a, b\in G)に対し、その積をabNと定義する。このとき、この積に対してG/Nは群になる。

証明

(aN\cdot bN)cN=(abN)(cN)=((ab)c)N=a(bc)N=aN(bN\cdot cN)
aN=(ae)N=aN\cdot eN
eN=(aa^{-a})N=aN\cdot a^{-1}N

準同型写像

G,G'を群、fGからG'の写像とする。\forall a,b\in Gに対してf(ab)=f(a)f(b)が成り立つとき、fGからG'の準同型写像という。
このとき、e,e'をそれぞれG,G'の単位元とすると、f(e)=e'。および、f(a^{-1})=f(a)^{-1}が成り立つ。

証明

f(e)f(e)=f(ee)=f(e)。これに左からf(e)^{-1}をかけると、f(e)=e'
また、f(a)f(a^{-1})=f(aa^{-1})=f(e)=e'。これに左からf(a)^{-1}をかけると、f(a^{-1})=f(a)^{-1}