理系学生日記

おまえはいつまで学生気分なのか

THIS IS LEAN (1) リソース効率とフロー効率

最近"アジャイル"について人に教えることが要求されていて、人に教える以上はきちんと学ばないといけないということで、改めていくつかの内容を振り返っています。 その中で、どうしてもきちんとした理解をしておく必要がある、と思ったのが「リソース効率」と「フロー効率」の考え方でした。

これらの効率の違いについては、自分としてあまり重視しては来ませんでした。 しかし、少しだけこの概念の入り口に踏み入る機会を得たところ、以下のような疑問の鍵はこれらの考え方にあるのではないかと考えるようになりました。

  • なぜ多くの企業は(フロー効率ではなく)リソース効率を重視するのか
  • SIer はなぜ人月で稼働を管理するのか
  • アジャイルではフロー効率が重視される一方、なぜリソース効率重視の姿勢を崩(さ|せ)ないのか

リソース効率とフロー効率については以下の素晴らしいスライドがあります。 リソース効率とフロー効率を学ぶには、そのスライドからも引用されている「THIS IS LEAN」が良いというアドバイスをいただき、当該の本を読み始めました。

まだまだ読み始めたばかりですが、少しずつ読書メモとしてアウトプットしていこうと考えています。

リソース効率とフロー効率

リソース効率は、組織内で価値を生み出すリソースに対して焦点を当てている。一方でフロー効率は、組織が「処理する対象」に焦点をあてている。 例えば患者と医者の関係を単純化して考えた場合、リソース効率は医者の稼働率を最大化することに焦点をあて、フロー効率は患者に焦点をあてる。

リソース効率

リソース効率は、ある時間枠において、どれだけリソースが使用されたかによって測定される。 この効率は、経済的な観点から言うとwikipedia:機会費用 によって説明される概念になる。要するに、組織としてコストを払って手に入れたリソースは有効に活用されないと無駄である、という考え方になる。

高いリソース効率が意味するところは、「リソース」が常に価値を提供し続けている状態を示し、「リソース」側に視点がある。

フロー効率

フロー効率は組織の「処理対象」に焦点をあてる。工業を例にとれば製品となり、複数の部品で構成される。サービスを例にとれば顧客ということになり、複数のアクティビティーによって顧客満足が満たされる。

フロー効率は、ある時間枠において、特定の「処理対象」がどれだけの時間だけ処理されたかによって定義される。ここでいう「時間枠」は、処理対象のニーズが確認されてから、ニーズが満たされるまでの間。

要するに、ある処理対象(例えば顧客)がどれだけ価値を受けられたのかを表現する。

高いフロー効率が意味するところは「処理対象」(例えば顧客)が高い割合で価値を受け続けていることを示し、「処理対象」側に視点がある。

両者の違い

この視点の違いについては、THIS IS LEAN の以下の図がわかりやすい。

結果的に、リソース効率を考えると「人(リソース)に仕事を割り振る」という考え方をすることでリソースの使用率を高めていく。 一方で、フロー効率を考えると「仕事に人を割り振る」という考え方をし、処理対象が常にリソースによって処理されている状態を作ろうとする。