理系学生日記

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TaskChute Cloudのログを生成AIで分析してタスク管理の振り返りを自動化する

僕は長年TaskChute Cloudを使って日々のタスク管理をしている。タスクをこなすこと自体は習慣化できているんだけど、本当に難しいのは日々のログを分析・可視化し、改善サイクルを回すことだ。GTDでも「振り返り(Review)」は重要なプロセスとされているけど、実践する段階になれば途端にハードルが高い。

でも、よく考えてみれば、分析や可視化はClaude Codeがあればすぐ実現できる。そして、その結果に対するフィードバックは生成AIに専門家として実施してもらえばいい。そう思い立って、TaskChute Cloudのログを自動で分析してAIからフィードバックを得るツールを作ってみた。

タスク管理における振り返りの難しさ

タスク管理ツールにタスクを登録して実行するところまでは、多くの人が実践している。でも、記録したデータを定期的に振り返って、自分の時間の使い方を分析して改善につなげるというプロセスは、意外と継続が難しい。

GTDでは「振り返り(Review)」というステップが明確に定義されている。週次レビューを通じて、自分のタスクリストを見直して、完了したタスクを確認して、今後の優先順位を調整する。この振り返りのプロセスが、GTDを単なるタスクリストではなく、継続的な改善サイクルとして機能させている。

TaskChute Cloudのような時間記録型のタスク管理ツールを使っていると、日々のログは確実に蓄積されていく。どのプロジェクトにどれだけ時間を使ったか、どの時間帯にどんなタスクをこなしたかといったデータは、すべて記録されている。でも、そのデータを眺めるだけでは何も変わらない。データから意味のある洞察を引き出して、具体的な改善アクションにつなげるところまでやらないと、振り返りの価値は半減してしまう。

問題は、この分析と可視化が面倒だということだ。CSVをダウンロードして、Excelで開いて、グラフを作って、数値を眺めて考える。このプロセスが億劫で、結局振り返りをサボってしまう。そして、振り返りをしないままタスクをこなし続けると、いつの間にか非効率なパターンに陥っていたり、重要なプロジェクトに十分な時間を割けていなかったりすることに気づかないまま時間が過ぎていく。

生成AIとClaude Codeで振り返りを自動化する

そこで考えたのが、この振り返りプロセスを自動化することだ。データの取得、分析、可視化、そしてフィードバックまで、すべて自動化してしまえば、振り返りのハードルは大きく下がる。

今の技術環境なら、これは簡単に実現できる。Claude Codeを使えば、データ分析や可視化のスクリプトはあっという間に書ける。そして、分析結果を生成AIに渡せば、タスク管理の専門家として客観的なフィードバックをしてもらえる。

実際に作ったツールはtccretroというPython製のCLI。このツールは、次のような流れで動作する。

まず、PlaywrightでTaskChute Cloudにログインして、CSV形式のログをエクスポートする。TaskChute Cloudでは今のところAPIが公開されていないので、ブラウザ自動化でログインからエクスポートまでを実行している。

次に、取得したCSVをPandasで読み込んで、さまざまな角度から分析する。日毎の記録時間、プロジェクト別の時間配分、モード別(通常タスク、ルーチンタスクなど)の時間配分、そしてルーチンタスクの内訳といった情報を集計して、グラフも生成する。

最後に、分析結果と生のログデータをAmazon Bedrock Claude Sonnet 4.5に渡して、タスク管理の専門家として振り返りのフィードバックをもらう。このフィードバックには、現状分析、改善提案、そして今週から実践できる具体的なアクションプランが含まれている。

末尾に抜粋を示すけど、すべての結果はMarkdown形式のレポートとして出力される。このレポートを読めば、自分の時間の使い方が一目で把握できて、どこに改善の余地があるかがわかる。

実際に使ってみた感想

このツールを作って実際に使ってみて、いくつかの発見があった。

まず、実装の容易さ。Claude Codeに「TaskChute CloudからCSVをエクスポートしてPandasで分析し、グラフを作成してBedrockでフィードバックをもらうツールを作りたい」と伝えるだけで、基本的な構造はすぐに出来上がった。細かい調整は必要だったけど、ゼロから作ることを考えれば圧倒的に短時間で完成した。生成AIの支援があれば、こういったパーソナルツールは誰でも簡単に作れる時代になったことを改めて実感した。

次に、データの可視化によって気づかなかった事実が明らかになった。実際にツールを実行してみると、Personal Adminというプロジェクトに4.07時間、つまり一日の約20%もの時間を費やしていたことがわかった。また、計画外タスクが30.7%も占めていたという事実も初めて具体的に認識できた。プロジェクト別やモード別の時間配分がグラフで可視化されると、数字だけでは気づきにくいバランスの偏りが一目でわかる。

そして、AIフィードバックの質が想像以上に良かった。出力が出過ぎてるけど。単に「このプロジェクトに時間をかけすぎです」といった表面的な指摘じゃなくて、「Personal Adminタスクの肥大化により、本来やりたかったことを圧迫している可能性があります」といった、データの裏にある意味を読み取ったフィードバックが得られた。Claude Sonnet 4.5は、タスク管理の専門家として振る舞って、データに基づいた具体的で実践可能なアドバイスを提供してくれる。

特に良かったのは、具体的なアクションプランまで示してくれる点だ。「Personal Growthの時間を増やしましょう」といった抽象的なアドバイスじゃなくて、「朝のSmartNews閲覧時間を30分に延長する」「週末に2時間の読書時間を確保する」といった、すぐに実践できる具体的な行動が提案される。改善策をゼロから自分で考える必要がないので、「とりあえずこれをやってみよう」という気持ちになりやすい。

また、振り返りのハードルが下がったことも大きい。以前は「振り返りをしなければ」と思いながらも、つい後回しにしてしまっていた。でも、今はコマンドを1つ実行するだけで、詳細な分析レポートとAIからのフィードバックが得られる。この手軽さが、振り返りを習慣化する鍵になっている。

まとめ

TaskChute Cloudのログを生成AIで分析するツールを作って、タスク管理の振り返りを自動化してみた。

  • GTDの振り返りプロセスは重要だけど、データの分析や可視化が面倒で実践しにくい
  • Playwright、Pandas、Amazon Bedrock Claude Sonnet 4.5を組み合わせることで、ログ取得からグラフ生成、AIフィードバックまでを完全自動化できる
  • Claude Codeの支援があれば、パーソナルツールの実装は驚くほど簡単
  • プロジェクト別・モード別・ルーチン別の時間配分がグラフで可視化されて、数字だけでは気づきにくい偏りが明らかになる
  • AIは表面的な指摘じゃなくて、データの裏にある意味を読み取って、具体的なアクションプランまで提示してくれる
  • 改善策をゼロから考える必要がなくて、すぐに実践できる行動が示されるので、改善に取り組むハードルが大きく下がった

今後は、より長期的なトレンド分析なども追加していきたい。タスク管理の振り返りという、これまで属人的で面倒だったプロセスが、生成AIの活用で実践しやすくなってきた。

出力される分析レポートの内容

実際にツールを実行すると、どのようなレポートが出力されるのか以下に紹介する。あまりに長いので一部だけ抜粋。

日別の記録時間

日付 記録時間 (h) 記録率 (%)
2025-11-02 20.44 85.1

プロジェクト別時間分析

分析対象プロジェクト数: 8 プロジェクト 合計時間: 20.44 時間

プロジェクト別実績時間

プロジェクト名 実績時間 (h) 割合 (%)
🛌 Sleep 6.00 29.4
⚙️ Personal Admin 4.07 19.9
🍽️ Eat/Cooking 3.56 17.4
🌿 Private-Refresh 2.79 13.7
🏡 Personal & Household Routine 1.84 9.0
✨ Personal Growth 1.09 5.3
🧘 Entertainment/Relaxation 1.07 5.3
🏃 Exercise & Health 0.01 0.0

グラフ

プロジェクト別時間分析

モード別時間分析

分析対象モード数: 2 モード 合計時間: 20.44 時間

モード別実績時間

モード名 実績時間 (h) 割合 (%)
🏠 Private-Living 19.85 97.1
📚 Private-Focus 0.59 2.9

モード別時間分析グラフ

モード別時間分析

ルーチン別時間分析

合計時間: 20.44 時間

タスク種別実績時間

タスク種別 実績時間 (h) 割合 (%)
ルーチンタスク 14.92 73.0
非ルーチンタスク 5.51 27.0

ルーチン別時間分析グラフ

ルーチン別時間分析

計画外タスク分析

見積もり時間が設定されていないタスクを「計画外タスク」として分析しました。

分析対象日数: 1 日

全体統計

  • 総実績時間: 20.44 時間
  • 計画外タスクの総時間: 6.27 時間
  • 平均計画外時間: 6.27 時間/日
  • 平均計画外割合: 30.7%
  • 最大計画外割合: 30.7%
  • 最小計画外割合: 30.7%

日別の計画外タスク

日付 総実績時間 (h) 計画済み (h) 計画外 (h) 計画外割合 (%)
2025-11-02 20.44 14.17 6.27 30.7

1. 現状分析

📊 時間の使い方の傾向と特徴

この日曜日は20.4時間の活動が記録されており、典型的な休日パターンを示しています。

主要な時間配分

  • 🛌 Sleep(6時間): 標準的な睡眠時間
  • ⚙️ Personal Admin(4.07時間): カメラ同期問題とスマートリング購入で大半を占める
  • 🍽️ Eat/Cooking(3.56時間): 週次の作り置き調理を含む
  • 🌿 Private-Refresh(2.79時間): 買い物(1時間超)とお風呂が中心
  • 🏡 Personal & Household Routine(1.84時間): 細かなルーチンタスクの積み重ね

✅ バランスの良い点

  1. ルーチンの定着度が高い(73%)

    • 日々の生活習慣がしっかり構造化されている
    • 朝のルーチン(Smartnews → どうぶつの森 → 朝食準備)が確立
  2. 週次タスクの実行

    • 週1回の作り置き調理(2時間13分)を実践
    • 一週間分の買い物(1時間2分)を計画的に実施
  3. 細かなタスクの可視化

    • 「お水を飲ませる」「カーテンを開ける」など、見落としがちな行動まで記録

⚠️ 課題点

1. Personal Adminタスクの肥大化(4.07時間 = 約20%)

生データを見ると:

  • カメラの同期問題:2時間52分
  • スマートリング購入:1時間12分 + 6分48秒

これらは単発タスクですが、日曜日の約20%を占めており、本来やりたかったことを圧迫している可能性があります。

2. Personal Growthの時間が極めて少ない(1.09時間 = 5.3%)

  • Smartnews閲覧:25分
  • はてなブックマーク:4分53秒
  • フィード消化:35分25秒

休日でありながら自己成長に投資した時間が1時間強というのは、意図的な選択でしょうか?

3. Exercise & Healthがほぼゼロ(0.01時間 = 36秒)

  • ストレッチ:わずか22秒
  • 腰のストレッチ:40秒

健康維持の観点から、運動時間の不足が顕著です。

4. タスクの細分化と中断の多さ

例:

  • 「部屋を片付ける」が3回に分断(29分57秒 + 2分32秒 + 1分26秒)
  • 「お水を飲ませる」が3回記録(1秒 + 2分34秒 + 10分15秒)

これは実態を正確に記録している証拠ですが、作業の集中力が分散している可能性も示唆しています。

💡 最後に:この日の素晴らしい点

分析では課題を多く指摘しましたが、この記録自体が素晴らしいです:

  1. 20時間以上の活動を記録 → 自己認識のレベルが高い
  2. 週次の作り置き調理を実践 → 計画的な生活設計
  3. 細かなルーチンまで可視化 → 改善の土台ができている

これらの基盤があるからこそ、さらなる最適化が可能です。

小さな改善を積み重ねることで、1年後には全く違う時間の使い方になっているはずです。

まずは今週、上記の「Week 1アクション」から始めてみてください!