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理系学生日記

おまえはいつまで学生気分なのか

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神の素粒子

physics book

2011 年 12 月 13 日、CERN (欧州原子核研究機構) から、ヒッグス粒子っぽいのが出てきたよ、まだ更なる実験が必要だけどね、という統一見解が発表されたことをご存知でしょうか。

このヒッグス粒子は、「神の素粒子」と呼ばれている未知の素粒子です。自分以外の粒子に対し質量を与えるという特別な能力があるとされているため、このような大層な名前がつきました。
では、この CERN ではどのような実験が行われているのか、そもそも素粒子の発見はどうやって行われてきたのか、それを軸にした歴史的な物語がこの本に書かれた主題です。

神の素粒子 宇宙創成の謎に迫る究極の加速器

神の素粒子 宇宙創成の謎に迫る究極の加速器

自然界には、4 つの基本的な力があります(個人的にはふざけた名前とも思いますが)。

  • 電磁力
  • 弱い力
  • 強い力
  • 重力

物体間でこれらの力を及ぼし合うとき、物質と物質の間で特有の粒子が交換されます。

4 つの力があるのであれば、当然その 4 つの力を全て既述できるような統一理論が欲しい。実際に電磁力と弱い力は、ワインバーグ・サラム理論によって統一されました。しかし残り 2 つの力の統一は、仮説こそあれ、なかなかうまくいきません。
しかし仮説があれば、それを証明する実験証拠があれば良い。この実験証拠を得るために行われるのが高エネルギー実験です。この高エネルギー実験に必要とされたのが、加速器でした。

粒子構造の発見方法

原子構造を明らかにしたのはラザフォードでした。ラザフォードは、当時大学院生だったマースデンとともに、アルファ粒子を金原子に衝突させる実験を行っていました。
当時主流だった原子モデルはトムソンのモデルであり、原子は正電荷とそれより小さな負電荷が均等に混じっているブドウパンのような構造と思われていました。このような原子にアルファ粒子をガンガン当てると、様々な方向に穏やかに反射されることが想定されます。しかし、実際にはほとんどのアルファ粒子は反射されることなく通過する一方、稀に大きく反射されるアルファ粒子が観測されます。この結果から、ラザフォードは、原子の中心には非常に小さな原子核があり、それが原子のほとんどの質量を占めるというモデルを作りました。

では、さらにその原子核の性質を調べるには何が必要なのか。それが高エネルギー実験です。原子核等、硬い粒子の性質を知るためには、高速に加速され高いエネルギーを持った粒子を衝突させれば良い。衝突によって高いエネルギーを得た粒子は崩壊し、その崩壊物を調べればさらなる詳しい構造が分かる。
粒子加速器の先陣を切ったのはラザフォードのウォルトンで、最初に作られたのは線形加速器でした。原理は単純で、一方を高電位にしたドリフト管に荷電粒子を送り、その電圧によって荷電粒子を加速させるというものです。この線形加速器で加速した陽子をリチウム原子核にぶつけ、リチウム原子をアルファ粒子に分裂できることを確認しました。ウォルトンはその業績でノーベル物理学賞を受賞することになります。

加速器の進化

線形加速器での加速能力には、「線形」であるが故の長さによる制限があります。この問題を解決したのが、ローレンスでした。ローレンスは線形でなく円形を採用し、粒子を回転させながら定期的に電圧をかけ、粒子を加速させるという方法を取ります。
サイクロトロンの加速性能をさらに凌駕する加速器がシンクロトロンです。誘導電磁石を中央に置いていたサイクロトロンに対し、シンクロトロンは粒子の円形軌道に沿って配置することにより、装置の半径が大きく伸び、大出力が得られるようになります。
一方で、固定された標的に粒子を当てると、そのエネルギーの大部分は弾き飛ばされる標的粒子の運動エネルギーに使われてしまうという問題がありました。この問題を解決するのがコライダー(衝突型加速器)です。コライダーでは加速粒子を正面衝突させることで、エネルギーのほとんどを破壊に使われるように仕向けるという方法が使われます。

現在の加速器事情

4 つの力を統一する大統一理論が次々に提案され、仮説上の粒子を発見するための実験に必要なエネルギーもうなぎ上りに増えます。素粒子物理学において、装置はより大きく、より高性能であることが全てであり、そのような加速器を構築するためには巨額のお金がかかります。1990 年代、素粒子物理学を引っ張っていたのはアメリカ(フェルミ研究所)とヨーロッパ(CERN)でしたが、アメリカはこの巨額の費用を用意することができませんでした。いまや、ヒッグス粒子を発見する最大の可能性は、CERNLHC (大型ハドロン衝突型加速器)に委ねられています。

LHC 以上のコライダーについては、具体的な計画は何もないそうです。つまり今後、仮説を検証する手段を失う可能性が高まっています。だからといって、大型加速器の構築に 100 億ドルを越える費用を拠出できるのか。むずかしい問題ですね。