読んだきっかけ
スーパーフリーとはあまり関係のないスケールフリーというのが最近アツいキーワードだったりするらしく、うちの研究室にも研究対象にスケールフリー・ネットワークをどかんと置いてるチームがあったりする。でもじつのところ、ぼくはほとんど知識を持ってなくて、"次数分布がべき則にしたがう"くらいしか知らなくて、後輩に笑われる危機だったりする。そういうわけで、読んでみたのがこの本なのである。
基本なのにあんまり理解してなかった
複雑ネットワークって何?っていわれるとなかなか答えに窮しそうなのだけれど、この本の2大キーワードは、「スケールフリー」と「スモールワールド」みたいな気がした。スモールワールドはまさにその名のとおり世界は狭くて知り合いを6人辿ると世界中の人に到達する(6次の隔たり)的な性質で、"スケールフリー"をmixiに例えると、マイミクの数をx軸に、度数をy軸にとると、そのグラフの形がになる性質(mixiは実際にこの性質を持ってる)。いままでぼくの中ではスケールフリーネットワーク⇔スモールワールドネットワークという認識だったのだけれど、⇒はそうとは限らないものらしい。
スモールワールドで幸せになる
まぁそんな説明がされた後で、コンピュータネットワークなり伝染病の伝播であり頭の中なりで、スモールワールドとかスケールフリーがいろいろと議論されるのだけれど、面白かったのは人間社会についてだった(下の階の研究室ではこのあたり活発に研究してる模様)。スモールワールド性をもたらすのはいわゆる"近道"で、たとえば東京に多くの友人がいる人が大阪に引っ越すと、その人が近道として作用して日本にスモールワールド性をもたらしてくれる。この近道は少数で十分に世界を小さくしてくれるので、ぼくの回りにそういう人がちょっとだけいるだけで、ぼくはいろんな情報を仕入れることができてすごくすごく幸せになれるってことらしい。とまぁこの辺の話はだいたいスモールワールドを扱ってる本には書いてあるのだけれど。
新しい見地
人間ネットワークを考えるとき、ホモフィリー(安心感のために、年齢・性別など共通点を持つ人同士がつながりやすい性質)を考えるとどうやらおもしろいことがわかるんだと。人間社会には、寄らば大樹の陰というか、長いものに巻かれろ的に、性能の良い頂点(人)に辺を張りたがる(くっつきたがる)性質がある。でも、その性能の良い人は、性能の良い人としかつながりたくないので(ホモフィリー)、実際にはネットワークは分離しがちになるというのである(ビップ・クラブ現象)。このvip達はそれほど多くのお知り合いはいないけど、高性能なこと、そして自分よりちょっと低い性能を持ってる人とはつながってるので、結構支配的な影響を及ぼしちゃう黒幕的存在になるって言ってた。でも知り合いがあんまりいないし、一般の人たちから見ると辺を張りたくない人なので、合コンだともてないんだと。そういうことらしいので、世界がフラット化してるといっても、完全にフラットにはならないよ!階層社会永遠に続くよ!的な感想も持つのであった。