理系学生日記

おまえはいつまで学生気分なのか

大栗先生の超弦理論入門

現代物理学といえば素粒子であって、素粒子論といえば超紐理論です*1
これまでいくつかの本でこのあたりに触れてはきました。


が、未だ「超紐理論」自体の具体像まで理解が進んでおらず、今回、wikipedia:大栗博司 先生のお超紐理論に入門してみようかと思って手に取ってみた次第です。


っていう固めの話はさておき、すごかったよ超紐理論。まさか、「空間」とか「次元」の概念が変わってるとは思わなかった。

いやさ、アインシュタインの相対性理論でさ、絶対的な時間なんて存在しないっていうの分かったじゃん。ほら、万人に共通の時間なんてのは幻想だってことになったじゃん。なったなった。
直感的にはさ、時間は共通だって思うじゃん。でも違うじゃん。ぼくとあなたの時間って違うじゃん。共通じゃないじゃん。もうすごいわけ。なにがなんだか分からないわけ。

それでも空間っていうかさ、次元っていうのはさ、絶対的だって思うじゃん。思うよな。ほら、ぼくたちの生きているこの世界はさ、空間的には 3 次元で、まぁ時間を入れて時空っていう考え方をすれば 4 次元じゃん。変わらないって思うじゃん。勝手に変わったらヒドいことになりそうだしな。
でも、超紐理論ではさ、空間は 9 次元なワケ。時間を加えれば 10 次元なワケ。それでもって、なんか考え方によっては 11 次元ですよーとか平気で言っちゃうワケ。さらに、次元なんてものは二次的な概念で、次元を作る一次的な何かがあるハズだ、とか平気で言っちゃうワケ。ヤバい。超紐理論、超ヤバい。
この本はそういうことを順序立てて、数式ほとんど無しで説明している本なワケだから、良い子のみんなは読むように。おじさんとの約束だぞ。

「超」紐理論とか言っちゃうそのセンスがヤバい

いやな、元々さ、物理学は粒子をベースにして発展してたワケ。習ったよな、質点とかいう概念。

うん、でもな、それだとさ、メッチャ極小の世界を対象にしたとき、計算が無限に発散しがちだったワケ。
極端な話、大きさゼロの電子が 2 つあったとして、その 2 つが密着したら、電子間に働くクーロン力は無限になっちゃうだろ。無限とか超ヤバいから何とかしたかったワケ。

そしたら物理屋さんは「素粒子ってのはなッ!!! 拡がりがあるんだよッ!!!」とか言って、素粒子を「弦」だと考え出したら、なんか計算が矛盾なくうまくいったワケ。弦の振動の状態で電子になったり、光子になったりする、とか考えたらうまくいったワケ。ビヨヨヨーンっていう震え方によって、光子になったりヒッグス粒子になったりするんだぞ。ヤバいだろ。西野カナじゃないのにな。それが弦理論だな。

でもな、弦理論だとさ、電子とかを説明できないわけ。電子とかっていうか、フェルミオンな。フェルミオンっていうのは、物質の元になる素粒子で、ニュートリノとかクォークとかの総称な。だから、なんか座標をグラスマン数 (wikipedia:外積代数) で表す「超空間」という概念を持ち出して、フェルミオンを弦理論で説明できるようにしたってワケだ。

超空間と弦理論を組み合わせたから超弦理論、マジかって感じだよ。さすがシンプルこそが美しいとする物理学だよな。まぁ「超対称性」の「超」っていう話もあるけどな。

そういうわけなので、「超」弦理論っていうネーミングについて、スーパーウルトラミラクルスゴいみたいな小学生みたいなネーミングやないかーと訝しむ方もいらっしゃると思いますけど、そういうのは生温かい目でスルーしてあげてください。

超紐理論だと数学的に辻褄が合いまくるのがヤバい

いやさ、量子力学と重力ってのはスゴい相性が悪いと思われたんですよ。ぼくの理解では。量子力学は量子力学として、理論と実験結果が整合してるワケ。一方で、重力は一般相対性理論で説明されてるし、GPS とかでも既に利用されてまくってるワケ。

でも、量子力学で重力を説明しようとするの大変だったんだよ。いやぼくは何もしてなくて息してるだけだけどな。でも大変大変って言われてたの。そしたらいきなり超弦理論とかいうヤバいヤツが来て、いきなり数学的に整合性が取れたわけ。

この世界の力は 4 つ

  1. 重力
  2. 電磁力
  3. つよい力
  4. よわい力

ってのがあって、これらを統一して説明できる理論の確立っていうの、物理学の悲願なんだけど、超弦理論が「チース!」みたいなかんじでその候補になったわけ。ヤバい名前なのにも関わらず、ヤバい。

一度諦められたのにまた復活した理論なのがヤバい

超紐理論って、一度フィーバーしてんの。バブルな。それがさっきの重力も説明できる理論だってことが説明されたときだけど、その後、バブル崩壊してるんですわ。代わりに場の量子論がフィーバーした。時代は残酷で、社会はきびしくて、ぼくたちは時間に消費されていくんだって絶望するしかないと思うじゃん。

でもさ、超弦理論って復活するの。時代の寵児としてもてはやされるの。ヤバい。マジでヤバい。一発屋じゃなかった。マジでクール。

バブル崩壊しても、超紐理論を研究し続けた研究者がエラいよな。だって超弦理論、アノマリーを起こすとか、5 つくらい亜種が存在してどれがこの世界を説明するのか分からんとか、いろいろな問題があったワケ。
そしたらいきなし、5 つの亜種は全部同じ理論だー! とか統一しちゃうわけ。その名前も wikipedia:M理論 よ M 理論。M が何を指すかは正解を誰も持ってないんだぞ。じゃぁなんで M ってつけたんだよみたいな感じもするじゃん。でもそこには触れてはならないんだよ。

超弦理論なのに膜も出てくるのがヤバい

超「弦」理論じゃん。そしたら、素粒子も弦状だと思うじゃん。でもちがう。それは素人の考えだ、みたいに、なんかいきなり二次元の膜とか出てくるのがヤバい。二次元だよ二次元。コミケか! みたいなかんじあるよな。

で二次元で終わりかと思ったら、3 次元の 3-ブレーンや、4 次元の 4-ブレーンとか出てくる。さすが 10 次元の理論だよな。なんかタウンゼントさんっていう物理学者いるんだけど、いきなし、

弦による独裁ではなく、すべてのブレーンによる民主主義を!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

とか言っちゃったりする。もう弦みたいに震えるしかない。

10 次元の理論が 3 次元のことを語れるのがヤバい

弦理論自体って 9 次元理論だったりするわけだけど、ぼくたちの世界って 3 次元じゃん、3 次元。そもそも次元違わなくね?適用できなくね?みたいになるじゃん。
でもそんなことはない、そこはさすが物理学者すごい。なんか差分の 6 次元は見えなくなってます!!! コンパクト化されてます!!!!!! みたいなことになってる。
たとえばさ、ピエロが綱渡りしてるとき、綱って 1 次元みたいなかんじじゃん。でも、実際は綱の断面には奥行も幅もあるわけじゃん。3 次元じゃん。そういうかんじ。
6 次元がコンパクト化されるってどういうこと、そもそも 6 次元ってどういうヤツなのって疑問もわくけど、弦理論によってコンパクト化されてる 6 次元空間はカラビ・ヤウ空間とか言われてて、とにかくヤバい。こんなかんじだ。

なにがこんなかんじだ、全然どういう形がわからない、そう思う人もいらっしゃることでしょう。ぼくもわからん。

そういうわけで

もう書くの疲れちゃったからまとめるけど、
超弦理論はヤバい、
こちらからは以上です。

*1:個人の感想です