理系学生日記

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イノベーションのジレンマ

イノベーションのジレンマ、どこに行っても評判よくて、いつか読みたい読みたいと思っていたんだけれど、いつの間にか Kindle で購入してて、いつの間にか読んだ。

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

イノベーションのジレンマというくらいだから、当然そこにジレンマがあるわけだけれど、どういうジレンマかはこの本の冒頭でズバリ語られていて、

すぐれた経営こそが、業界リーダーの座を失った最大の理由である

ということであるので、とりあえず読みはじめたときから、これはヤバい、これはヤバい、みたいな感じだった。 この記述が正であるならば、それはもはや栄枯必衰であって、奢れる者は久しからずであって、今満開の桜はもうすぐ散るから、散る前に酒を飲まなければ!!!! ということになる。上野公園で酒を呑み続ける皆々様は戦略として絶対的に正しいので、明日の朝まで飲み続けて会社に遅刻するのがよいでしょう。

概要

この本では技術というものを以下の 2 つに分類している。

  1. 持続的技術
  2. 破壊的技術

持続的技術は,製品の性能を高めるものと位置付けられている。この持続的技術は専ら大会社の独壇場であって、市場を調査し、顧客の声に真摯に耳を傾け、綿密に計画をたてることによって持続的イノベーションに至る。 一方で、破壊的技術は、一時的には従来の製品を下回る性能しか持たないが、その後、従来の製品を市場から駆逐してしまうタイプの技術。この本でいっているのは、大企業が論理的に正しい判断をしようとすると、この破壊的技術を扱えないということであって、

企業の成功のために重要な、論理的で正しい経営判断が、企業がリーダーシップを失う理由にもなる

という文章がそれを如実に示している。

なぜ大企業が破壊的技術を扱えないのか

内容としてはだいたい以下のようなものかと思う。

1. そもそも声を聞くべき顧客が存在しない

破壊的技術というのは、世の中に新しい価値の軸を作り出す。そこに新しい価値があるということに顧客自身が気付いていないからこそ「新しい価値」なのであって、その新しい価値には市場・顧客そのものが存在しない。このため、顧客の声を聞くことはできず、市場を分析することはできない。企業はある意味、賭けにでる他ない。

2. 破壊的技術のつくる市場規模は、大企業の求める規模より遥かに小さい

破壊的技術は新たな市場を作るが、その初期の市場は当然ながら従来製品(持続的技術による製品) よりも小さい。大企業が会社のリソースを最適に配分しようとすればするほど、破壊的技術に配分するよりも持続的技術に配分する方が論理的に正しくなる。

3. 破壊的技術への投資は賭けの一種

破壊的技術がもたらす市場に対するデータはなく、どれだけの利益が得られるのか予測も立てられない。破壊的技術というのは本質的にそういうものであって、「予測に基いて判断をくだす」ということができない。大企業がそれまで成功してきた要因は、顧客の声に耳を傾け、市場を分析し、将来を予測してきた結果であって、破壊的技術への投資はその価値観とは完全に衝突する。

4. 現場に破壊的技術に取り組むメリットがない

会社の戦略を決めるのは、会社トップではなく、中間管理職である。中間管理職が会社トップに対して提示しないプランは、そもそも会社トップの判断対象にならない。 そういう意味で、大企業の中間管理職が破壊的技術に取り組もうとするのが合理的であるのかというと、基本的には NO である。それはある意味博打のようなものであるし、予測を立てるのが極めて難しい領域の話を会社 TOP に提示して怒られるよりは、予測を立て戦略を立てその内容を提示するほうが受けが良い。

じゃぁどうすれば良いのさ

この扱いにくい破壊的技術に、企業はどのように関わっていけば良いのか。 そこまで踏み込んでいるからこそこの本は名著と言われているのであって、丸々一章をかけて、「自分だったらどうするか」をシミュレーションしているのだけれど、そこはぜひ読んで頂いたら良いとおもう。ただ、真剣に「破壊的技術」と向き合う会社がどこまであるのかは正直よくわからないし、破壊的技術に真剣に向き合っているか否かは(この本の内容が正しいとすると)会社組織の形を見ればある程度分かるかんじになっているはずなので、自分がどっちの技術を見ていけば良いのかを考えてみるのもおもしろいとおもう。