理系学生日記

おまえはいつまで学生気分なのか

転職は1億円損をする

本のタイトルは釣りです。

ISBN:978-4-04-710155-5:detail

なかなかショッキングなタイトルの新書でしたが、この 1 億円の論拠というのは転職しなかったケースと転職先に極端に制度が整っていないケース(退職金制度なし ∧ 通勤費なし ∧ 厚生年金なし … etc.)との差額を 2 億円と算出し、話半分だとしても 1 億円だね (ニコッ) って話なので、タイトルは釣りです。著者も

――「1億円損をする」とはまた衝撃的なタイトルですが。

 すでに書評などでも取り上げていただいているとおり、「1億円」の算出の仕方については、少し極端な例も含めています。しかし、とくに読んでほしいターゲットに届けるには、このくらいのインパクトのあるタイトルが必要だと思いました。

メディア | 翔泳社

といっているので、まぁそういうタイトルです。

内容としては、早期転職希望者をターゲットとする転職ビジネスというのは転職希望者をいかに仰って利益を上げるかというビジネスでもあり、転職希望者は慎重に考えないと損をするというメッセージ。転職ビジネスというのは転職希望者がいないと利益を生まないため、転職は損だから今の会社に居続けた方が良いというよりも、転職は得だから転職しようという強いバイアスがかかる。そもそも転職希望者は、そのバイアスを持っているからこそ転職希望者なわけで、これによってバイアスが増幅される。結果として安易、安直な転職が行われることになり、転職者は不幸になるという流れ。

確かに「転職は損」というメッセージを声高に主張して得られる利益よりも、「転職は得」だと主張して得られる(短期的)利益*1の方が社会全体としては大きいのであって、ポジショントークには気をつけないといけないというのはその通りだと思いました。

本から離れると、日本は人材の流動性がないからクソ会社がつぶれず、自然淘汰、新陳代謝が進まずに労働者が不幸になるという話もありますが、素人のぼくが偉そうに何か言っても誰も幸せにならないので、さぁ今からカニチャーハンをつくりましょう!!!

*1:本書の中では、この傾向は長期的に見ると日本企業全体の活力を失わせるという意味で「焼畑農業」と称している