理系学生日記

おまえはいつまで学生気分なのか

「卑怯なコウモリ」の卑怯とは何なのか

イソップ寓話「卑怯なコウモリ」の一般的なあらすじを wikipedia では以下のようにまとめています。

昔、鳥の一族と獣の一族がお互いに争っていた。その様子を見ていたコウモリは、鳥の一族が有利になると鳥たちの前に姿を現し、「私は鳥の仲間です。あなたたちと同じように翼を持っています」と言った。獣の一族が有利になると獣たちの前に姿を現し、「私は獣の仲間です。ねずみのような灰色の毛皮と牙があります」と言った。その後二つの一族間の争いは終わり、鳥も獣も和解した。しかし、幾度もの寝返りをしたコウモリはどちらの種族からも嫌われ、仲間はずれにされてしまい、やがて暗い洞窟の中へ身をひそめるようになった。

コウモリは一方では鳥であり、また一方では獣です。鳥の一族につけるようで完全には鳥でなく、獣の一族につけるようで完全には獣でありません。鳥の一族は、あるいは獣の一族は、そんなコウモリをどう思い、どう扱ったのかなって、そんなことを思います。コウモリが嫌われたのは、本当に幾度もの寝返りをしたことが原因なのかなと。

同質な集団の中で少し異質な者が生きていくのは、この現実においてもスゴく難しいです。それなりに辛酸をなめないといけなかったりするし、それなりに集団をダマし、そして自分をダマさないといけなかったりします。集団の側から見れば、それを卑怯と呼ぶのかもしれません。でもコウモリから見れば、それは生きていくための精一杯の知恵だったりもするわけです。

寓話上では最終的に、鳥の一族も獣の一族もコウモリを排斥し、暗い洞窟の中へコウモリを追いやります。どうですかね、こんな「卑怯」なコウモリ、みなさんの周りにもたくさんいるんじゃないですかね。