Mozilla Public License 2.0とはどのようなものかを説明したい場面があったのですが、これがなかなか難しい。 ライセンスのような厳密なロジックが求められるものをまとめると、どこか誤解をもたらすのではないか、という気もします。
そういうわけなので、正確な内容はMozilla Public License, version 2.0をご参照ください。 また、日本語訳はhttps://licenses.opensource.jp/MPL-2.0/MPL-2.0.htmlを見るのが良いです。
特徴
特徴的なところはこちらではないでしょうか。
- ライセンサに派生物にまで同じライセンスの適用を要求する。
- ライセンサが配布するOSSを、ライセンシが他のソフトウェアと組み合わせた場合、ライセンサはライセンシに組み合わせ先のソフトウェアまでは、同じライセンスの適用を要求しない。
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これがどういうことかというと、というのがこちら。
MPLのライセンスの背景には「オープンソース(MPL)由来のソフトウェア部分についてはすべてソースコードを開示してください」という思想があります。 逆に言うと、それ以外の部分(ユーザー自作部分)のソースコードの開示は要求しない、ともいえます。
GPLのCopyleftに対しMPLが「Weak Copyleft」と言われるのはここが理由。MPLが適用されるソースコードを組み込んだプロダクトを頒布したとき、当該プロダクトのコードは公開する必要がない。
もう少し詳しい情報は我らのWikipediaで、「利用条件」に秀逸な形でまとめられていました。
MPLでライセンスされたソースコードは、他のライセンスで保護されたファイルやプロプライエタリなファイルと組み合わせることが可能であるが、MPLで保護されたコードは永続的にMPLでライセンスされ続け、ソースコードの状態で利用可能であることが求められる。これは、MIT LicenseやBSDライセンスにおいて派生物をプロプライエタリにすることが可能なことや、GPLが派生物すべてをGPLでライセンスすることを求めていることと比較した時のMPLの大きな違いである。プロプライエタリなモジュールはプロプライエタリなままで、それ以外のコアモジュールはオープンソースを維持できることから、MPLはソフトウェア企業、オープンソースコミュニティ双方での利用が容易となっている。
特許を含まない場合、MPLでライセンスされたコードの利用、改変、再頒布を自由に行うことができる。特許で保護されたコードの場合には、利用、譲渡、販売は可能であるが改変は特別な許可がない限り認められない。また、MPLでは被許諾者に対して貢献者の商標に関する権利は何ら付与されない。
MPLの利用条件を順守するために、被許諾者には主に再頒布に関する責任が要求される。被許諾者は、MPLで保護されるソースコードすべてに対するアクセスあるいは提供手段を確保する必要がある。これは、成果物が実行ファイルであったりプロプライエタリなコードと組み合わせたものである場合も同様である。例外は、GNU General Public License (GPL)、GNU Lesser General Public License (LGPL) あるいは Affero GPL (AGPL) でライセンスされたコードと組み合わせた場合であり、この場合にはMPLの代わりにより厳格なGPLベースのライセンスを選択することが可能である。