VS Code v1.100で登場したgithubRepo
機能、試しましたか?
いや全然知らなかったんだわこれ。
You can now use the
#githubRepo
tool to search for code snippets in any GitHub repository that you have access to. This tool takes a user/repo as extra input. For example, "how to implement factory pattern in TS #githubRepo microsoft/vscode".Search code of a GitHub repository with the #githubRepo tool
GitHubリポジトリをローカルにクローンしなくても、リモートのまま中身をサクッと閲覧できて、しかもCopilotと連携してコードの意味や使い方をAIに質問できるんです。大規模なOSSや、ちょっと気になる新ライブラリの調査が一気にラクになりました。
githubRepo
の回答をコンテキストに流し込めば、生成AIが学習してないライブラリやフレームワークを用いたVibe Codingも相当程度加速するんじゃないかと思っています。
これってContext7 MCPサーバが解こうとしていた課題の一つじゃないだろうか。
実際の例
百聞は一見に如かず、ということで、以下のようなプロンプトを投げてみた結果は次の通り。
#githubRepo Fintan-contents/example-chat をみて、Nablarchフレームワークを使った時の REST API を受け付ける Action クラスのベストプラクティスをサンプルと共に示して
回答
NablarchフレームワークでREST APIを受け付けるActionクラスのベストプラクティスは、Fintan-contents/example-chatの実装例から多く学べます。ここでは、実際のサンプルとともに、設計・実装上のポイントを解説します。
基本構成とアノテーション
@SystemRepositoryComponent
でDI管理対象に@Path
でエンドポイントを指定- HTTPメソッドごとに
@GET
/@POST
/@PUT
/@DELETE
などを付与@Consumes
/@Produces
でリクエスト・レスポンスのContent-Typeを明示サンプル・メッセージ投稿API
@SystemRepositoryComponent @Path("/channels/{channelId:\\d+}/messages") public class MessagesAction { private final MessagePostingService messagePostingService; private final LoginAccountIdSupplier loginAccountIdSupplier; public MessagesAction(MessagePostingService messagePostingService, LoginAccountIdSupplier loginAccountIdSupplier) { this.messagePostingService = messagePostingService; this.loginAccountIdSupplier = loginAccountIdSupplier; } @POST @Consumes(MediaType.APPLICATION_JSON) @CheckPermission(Permission.CHANNEL_MEMBER) public void post(HttpRequest request, ExecutionContext context, TextPostRequest requestBody) { // パラメータバリデーション ValidatorUtil.validate(requestBody); // パスパラメータ取得 ChannelId channelId = new ChannelId(Long.valueOf(request.getParam("channelId")[0])); AccountId accountId = loginAccountIdSupplier.supply(); // サービス呼び出し messagePostingService.postText(channelId, accountId, requestBody.text); } public static class TextPostRequest { @NotNull public MessageText text; } }
3.ベストプラクティス解説
3.1. 依存性注入(DI)を活用
- サービス層やユーティリティはコンストラクタインジェクションで受け取る
- テスト容易性・保守性が向上
3.2. バリデーションの徹底
ValidatorUtil.validate(requestBody);
でリクエストの妥当性を必ず検証@NotNull
などBean Validationアノテーションを活用3.3. パス・クエリパラメータの取得
request.getParam("channelId")
でパスパラメータを取得- 型変換やnullチェックも忘れずに
3.4. 認可チェック
@CheckPermission
で権限制御を明示- コードから権限漏れを防ぐ
3.5. リクエスト/レスポンスの型設計
- リクエスト・レスポンスは静的な内部クラスで定義
- フィールドはpublicでシンプルに(Jackson等で自動シリアライズ)
3.6. 例外・エラー処理
- サービス層で発生した例外は、ハンドラ(例:
RestApiErrorResponseHandler
)で一元的にハンドリング- エラー内容はAPI利用者にわかりやすく返す
反証・異論も考慮
「Actionクラスが肥大化しやすい」 → サービス層にロジックを寄せ、Actionは「受け口」として薄く保つ
「バリデーションや認可の抜け漏れ」 → アノテーションや共通ユーティリティで仕組み化
可能性を感じたこと
未学習ライブラリの障壁解消
個人的に一番インパクトを感じたのは、AIがまだ学習していない新しいライブラリやフレームワークにも、リアルタイムで適応できるようになったことです。これまではLLMの学習データに含まれていないと、AIの提案が的外れになりがちでした。でもgithubRepo機能なら、AIが「今その場でリポジトリの中身を参照」しながらコード生成してくれるので、未知のOSSでも実用的な提案がもらえます。
上にNablarchというフレームワークに関する問合せ結果の例を記載しましたが、結構いいんじゃないかと思います。変なstatic classがあるけど、全体的にはいい感じのActionクラスだ。Deepwiki MCPサーバ的な使い方(=リポジトリを知識ベースとしてAIに参照させることで、現場の知見を即時に活用できる仕組み)もできそう。
特定のライブラリに詳しい「エキスパート」の価値は相対的に下がるかもしれません。GitHub Copilotが専門知識をコンテキストに注入してくれるので、チーム内の知識格差は縮まりそうです。
学習コストの削減
新しい技術を導入するとき、「まずは公式ドキュメントを読んで…」という手間が大幅に減ります。自然言語で「この機能を実装したいけどサンプル示して」といったことを伝えるだけで、AIがリポジトリを調べて提案してくれる。Vibe Codingの「誰でも開発できる」という理想に、また一歩近づいた感覚です。
githubRepo
機能は、AIが参照できる情報量を一気に増やします。APIリファレンスだけでなく、実際の使用例やテストまで含めて、より「現場感」のある提案が可能になるのではないでしょうか。設計判断の質も、これまで以上に高まりそうです。
結論
VS CodeのgithubRepo
機能は、Vibe Codingの可能性を広げてくれるなと感じました。AIが未学習のOSSにも対応できることで、エコシステムの壁がどんどん低くなりそうです。
ただ、AIの提案を鵜呑みにしてしまうとライブラリの哲学(例:設計思想や推奨される使い方、作者の意図など)の理解が疎かになるリスクもあるでしょう。AIを、学習の代替ではなく学習の加速装置として使わないといけないんでしょうね。