理系学生日記

おまえはいつまで学生気分なのか

人を動かす、マネジメント

ISBN:978-4-422-10051-7:detail

人を動かす、名著名著って評判高くて、確かに良いこと言ってる感あるんだけど、あんまし心に響かなかった。
人に重要感を持たせるみたいな話で一貫してて、それはそれで、まぁそうですねという感じだったんだけど、なんか自分の本心を隠してそういう対人関係築いても、つらそうなかんじがした。一応フォローしとくと、カーネギーは「嘘をつけ」って言ってるわけじゃなくて、本心からそうしろっていう話をしてる。でも、やっぱし人間だから、そういうの完璧にはできないとおもう。
完璧にできないからこそ努力することが尊いんだって解釈もあるけど、それだったら結局ずっとウソをつく羽目になって、呵責とかいろいろ出てくるかんじがする。ずっと呵責に耐えながら、努力しつづけろって話なら、何のモチベーションも湧かない。読んでて終始、それでいいのかっていう感じだった。

ISBN:4-478-41023-2:detail

一方、マネジメントの中で、ドラッガーがいいこと言ってた。

これにたいして Y 理論と名づけた見方は、人は欲求を持ち、仕事を通じて自己実現と責任を欲するとする。
(略)
産業心理学は、そのほとんどが Y 理論への忠誠を称する。自己実現、創造性、人格をいう。だが、その中身は心理操作による支配である。
(略)
しかしいかに進化したといっても、これが支配であることには変わりない。そのような支配は、進化していると否とにかかわらず、心理学の濫用である。

心理的支配が有効たりえないのは、200 年前の啓蒙主義が政治的に有効たりえなかったのと同じである。その原因も、同じである。ともに支配する側に万能の天才を必要とするからである。
(略)
仕事のうえの人間関係は、尊敬に基礎を置かなければならない。これに対し心理的支配は、根本において人をばかにしている。伝統的な X 理論以上に人をばかにする。心理的支配は、人を怠惰で仕事を嫌う存在とは仮定しないが、マネジメントだけが健康で、他の者はすべて病気であると仮定する。(略)まさに傲慢で、ばかげた仮定である。

カーネギーの言う態度を、真摯に心からそう思える人間になれるなら、それはすごく美しいとはおもう。みんなが相手に重要性をもたせるように動いて、みんなが自分は重要なんだって意識して、それでみんなでハッピーになりましょう、みたいなの、ずいぶん美しいけど、やっぱりこわさがある。不完全な人間に完全性を求めている気がして、宗教的なかんじがする。理想世界だけど、生きやすくなさそう。白河の 清きに魚も 住みかねて もとのにごりの 田沼恋しき、みたいなかんじがした。

いかに愛想がよく、助けになり、人づきあいがよかろうと、まかにいかに有能であって聡明であろうと危険である。そのような者はマネジャーとしても、紳士としても失格である。
(略)
しかし、学ぶことのできない資質、後天的に獲得することのできない資質、始めから身につけていけなければならない資質が一つだけある。才能ではない。真摯さである。