新規事業開発という分野へ関わることになりました。
右も左もわからんなという状態のぼくにお薦め頂いた本、「起業の科学」を読みました。
読後感
一言で言えば読んで良かったです。
非常に良いなと感じたのは、新規事業開発を「科学」として解説してくれているところ。 この界隈は「再現性がない」と言われている分野1で、成功に至るゴールデンルートのようなものはありません[^1]。 事実、新規事業の立ち上げが得意な企業であっても、ほとんどが失敗しているようです。
そういう分野では、どうしても「成功者」が語る「自分の通った道」を追うことになりがちで、そこにはwikipedia:生存バイアスがかかります。 また、自分自身理解が全く足りていない分野です。 そういったときに自ら断片的な知識を追えるフェーズでもなかったので、「サイエンス」を名乗るこの本で体系的な理解が得られたのは、最初のステップとしては有り難かったです。
私はアマゾンやフェイスブックのような「大成功するスタートアップ」を作ることはアートだと思っている。 ただし、この本で示した基本的な型を身につければ「失敗しないスタートアップ」は高い確率で実現できる。 これを私はサイエンスだと信じている。
しっかり理解したい本の場合、ぼくはマインドマップを作ります。 記述されていることをまずはツリーとして羅列し、それを再構成する過程で、理解が定着していくであろうと思っています。
今回のマインドマップはこんな形になりました。
だいたいこれで半分です。入りきらないくらい、新しい知識の山でした。
これから
本自体は、以下ページの内容が概略になっており、スタートアップは大きく以下のフェーズで進むと説かれています。
- Idea Verification
- Costomer Problem Fit
- Problem Solution Fit
- Product Market Fit
- Transition to Scale
魅力的なサービスを「構築」する前に、カスタマーの持つ課題ときちんと向き合い検証しろ。 カスタマーが痛みを抱える課題であることが検証できたら、次にその解決策を考え、やはり検証しろ。 ぼくもエンジニアの端くれなので「ものを作り」たがります。 その前にまず正しい課題と向き合っているのか、正しい解決策を持っているのかという問いは、内省含みで直視しづらいものでした。
新規事業開発に必要なエンジニアリングとは何かということにこれから向き合っていくことになります。 ユーザが安心して使えるアプリやインフラを作ることはエンジニアリングの素晴らしい結果です。
一方で、「エンジニアリング組織論への招待」には以下のようなことが記載されています。
私たちは、エンジニアリングというとつい、技術的なことだけで構成されているような錯覚をしてしまいます。(略) エンジニアリングという行為は、何かを「実現」することです。実現のために、不確実性の高い状態から、不確実性の低い状態に効率よく移していく過程に行うすべてのことです。
不確実性を減らすために行う全てのこと、それは純粋なITだけでないんだろうなと。 ユーザのインサイトをどう捉えるのか、チームのファシリテーションをどう行うのか、学びを得る過程をどうマネジメントするのか。 そういったことをしながら、最終的にどうやって事業を成功させるのか。なかなか難しい課題だなと、最近頭を悩ませてます。
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未経験なので真偽を語れない。↩