コロナ禍において、実効再生産数をよく聞くけど、この算出方法がわからなかった。数理モデル上は基本再生産数という言葉も聞くけど、実効再生産数とどう違うかもわからない。
調べみた結果をまとめてみる。ぼくはこの分野ぜんぜん詳しくないので間違ってる可能性があります。
伝染病のモデル
まず前提として、伝染病の伝染状況を表す数理モデルは、その伝染の状態遷移に応じて複数存在している。
例えばここでは、情報の伝搬をSIモデルで解いた。SIモデルは、感染する可能性の高い人が感染者になっていく状態を表す単純なモデルだった。このモデルに免疫の取得によって感染不能な状態になることは含まれていない。
免疫の獲得によって2度と感染しないことをモデルの中に組み込んだのがwikipedia:SIRモデル、感染した人はしばらく経って回復するけどまた再感染するモデルはSISモデルという。感染はしているけれど症状が出ていない人を含めてモデル化したwikipedia:SEIRモデルもある。
SIRモデルにおける基本再生産数
ネット上で一番情報の多いSIRモデルを用いて読み解いていく。
SIRモデルにおける、SIRそれぞれの意味は以下のように定義される。
- S: 感受性保持者
- I: 感染者
- R: 免疫保持者
冒頭に記載したように、SIRモデルは一度免疫を保持すると、以降に感染することはない。数理モデルとしての考え方は以下のようになる。は感染確率で、単位は。は感染者が免疫を獲得する速度係数。
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- 感受性保持者と感染者が接触することにより、の確率で感染が発生。感受性保持者が減っていく
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- 感受性保持者と感染者が接触することにより、の確率で感染が発生し、感染者は増える。一方で、感染者は、免疫を獲得する人の分だけ減っていく
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- 免疫保持者はの分だけ増える
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- 周囲の人口はで一定
ここで初期状態に着目すると、初期状態ではほぼ全員が感受性保持者になる()。これを第二式に代入すると以下の微分方程式が得られる。かなり雑な代入だけれど大丈夫なのだろうか。
これは容易に変数分離形で解くことができる。
つまり、感染者はの値が1以上であれば増加し、1未満であれば減少する。このを基本再生産数と呼ぶ。らしい。なるほど。 この値の意味づけはWikipediaによると以下とのこと。
疫学において、感染症に感染した1人の感染者が、誰も免疫を持たない集団に加わったとき、平均して何人に直接感染させるかという人数。1人の患者が何人に感染を広げる可能性があるかを示す。
ポイントは「誰も免疫を持たない集団に加わったとき」という前提があることで、このような状況は滅多に発生しない。かろうじて感染初期に意味があるくらいなのだろう。
実効再生算数
wikipedia:基本再生産数に実効再生産数についての定義がある。
実効再生産数とは、感染個体がすでに存在するかもしれない現在の集団内で、一感染個体により直接生み出される感染個体数の平均である。
つまりは「感染個体」がすでにいる集団において、一人の感染者からどれだけ直接感染者が広がるか、ということか。 ワイドショーで言われている定義が腹落ちした。
まとめ
- SIR数理モデルから導かれる基本再生産数は、実用においての適用は難しい
- 実効再生産数は実用においては便利
残った疑問
- SIRモデルではないモデルにおいて、実効再生算数はどのように定義されるのか
- 実効再生産数は、現実から「数える」他に算出する方法はないのか
にCOVID-19の実効再生算数のリアルタイム予測のコードっぽいものがあるが、知識不足で読み取れなかった。