理系学生日記

おまえはいつまで学生気分なのか

極論最強説

世の中というのは様々な人たちによって構成されています。それぞれの人は、それぞれの考え方を持ち、それらのベクトルは完全に一致することがないどころか、ときには真反対になったり、互いにねじれの関係にあったりします。そういう様々な人たちの様々な考え方の集合体であるこの世の中というのは、当然ながらそれらのバランスを取ったものになり、だれかの考え方に完全一致した世の中が実現することはまず間違いなくあり得ません。言ってみれば妥協の産物であり、見方をかえれば個々人の我慢の集合体であり、個人の考え方と実際の世の中というのは必ず乖離します。

そういう見方で世の中を俯瞰した場合、「極論」を用いることで、様々なことを論破することが可能になります。「悪いことをした人は全員死刑にすれば良いのに」「NEET は国家に対して何も貢献しないから死ねばいいのに」などというのがそのサンプルで、こういう論に対して反論を試みるのはなかなか難しい作業になります。だって、そもそもが矛盾を孕んでいるわけですし、多数の人の考え方の混在によって生まれるその矛盾というのは複雑すぎて、説明することもできないわけですからね。
従って、そういう極論に対しては、回答する側は「そういうことを言うとはまだまだ青い」、「歳を重ねれば、だんだん分かってくるよ」などというような、分かったような分からないような、狡い回答しか用意することはできません。小中学生の方々は、そういう狡猾な大人であるぼくたちを許してあげないといけない。だってかわいそうだろ。みんな我慢と矛盾をかかえながら、そういうのをわざと考えないようにして生きてるのよ。

興味深いのは、そういう狡い回答しか用意することができない大人が、「様々な考え方」を持つ人々の利害の調整弁たる政治について「極論」を用いて批判するところで、これはなかなか滑稽です。たいへんに興味深い。そりゃ極論用いて「政治家はバカ」とか blog で言ってりゃ気が楽ですね。優越感ゲームか。こういう世の中ですから、blog などでどんどん極論を披露して、どんどんストレスを発散し、メンタルヘルスを向上させたらいいと思います。