理系学生日記

おまえはいつまで学生気分なのか

2020年を振り返る

2020 年はとにかく多忙な年でした。

これまではプロジェクトに入ってリーディングやマネジメントを主として行なっていたのですが、4 月からは所属部署が変わり、全社へ様々な施策を仕掛け展開する役割を担うようになりました。 それに伴い、要求されることも相当変わり、考え方も変化しました。

成果を拡大するために必要なこと

人に動いてもらうこと

4 月から部署が変わったとともに役職も変わり、それなりの規模の成果・イノベーションが求められるようになりました。

僕自身は、技術の追求も好きだし、コードを書くのも好きです。可能であれば 100 %の時間をそれらにコミットしたいと思っています。

でも、その「好き」な技術で求められる規模の成果が出せるのかが問題でした。 果たして自分が会社を変えられるだけのプロダクトを自分が生み出せるのか。2020 年前半などは"やったらできる"んじゃないかとも思い、実際にそういう行動を取りもしました。その上で最終的に出した答えは「できないな」でした。

どうも現在の自分にはそこまでの素質や力はなさそうです。この感覚、修士のときに実感したものとよく似ています。

期待される成果を個人としてのエンジニアリングで生み出せないのであれば、次の戦略は如何に人を動かすかになりました。自分たちの部門だけでなく、他部門も巻き込みながら。そして、それが自分にとっての極めて大きな壁でした。ぼくはそれを主な理由として会社を辞めたことがあるからです。

会社の組織体系は、当初市場指向の組織体系を取り、徐々に職能指向化します。そして縦割りの弊害が目立つようになってから市場指向へ揺り戻しが起こります1。 揺り戻しが発生するとはいえ、職能指向化が進んだ企業において何らかの成果を生もうとすると、部門を超えて人に動いてもらわなければなりません。職能指向の組織においては、自組織で解決できる問題は限られるからです。

部門を超えて初めて会う人に自分の考えを伝え、動いてもらう。自分のスケジュールは打ち合わせで埋まりました。最初は嫌で嫌で仕方がありませんでした。

でもその中で、会社を良くしようと思っている人がたくさんいることを知りました。そういった人たちと協力するというのは、これまでに味わったことのない楽しさがありました。

今でも諸手をあげて何の抵抗もなく、というわけではありません。 ただ、以前と比べると明らかに抵抗は少なくなり、むしろ前向きな気持ちで臨めるようになりました。

マルチタスクを受け入れること

顧客に素早く価値を提供するにあたっての王道は、「1 つの仕事に集中する」ことです。これは DevOps でもアジャイルでも Lean でも同じことが言われます。

一般に、マルチタスクは効率を落とします。 以下の図は Stop Trying to Multitask. You're Terrible at It.からの引用です。 5 つのプロジェクトを並行して回す場合、時間の 75 %はコンテキストスイッチに浪費されるとされています。

だからこそ、複数の施策を同時並行して担当することに当初は抵抗がありました。 自分が学んだ Lean や DevOps とは真っ向から異なる進め方で良いのだろうかという。 そもそも「掛け持ち」はメチャクチャ苦手でしたし。

ただし立ち止まって考えてみると、職能指向の会社組織の中で他部門と協力しながら物事を進めるのは、Lean や DevOps が志向する市場志向のチームで進めていく方法とは違うんだと気づきました。 成果を追求するためには、自分自身は状況を俯瞰しつつ注力する箇所を見極め、チームの皆には 1 つの事柄に集中できる環境を整えることが必要なんだろうと2

だから自分はマルチタスク、複数施策の掛け持ちを受け入れて、なんとか進めていこうと考えています。 このあたりをようやく前向きに捉えられるようになりました。

どのような年だったか

まとめてみると、それはもう色々失敗をしました。 それでも以前はそのことを卑屈に受け止めていたのですが、ここで書いた内容の通り、まずは自分の「考え方」を少し良い方向に持っていけたことが 1 つの収穫でしょうか。

なかなか具体的な成果をあげるところまでたどり着けていませんが、今年の収穫を元に来年はきちんと結果が出せるように取り組んでいきたいです。


  1. 根拠はないです。よく知らない。たぶんそういうものだろうと思っています。

  2. できてないけど